きなこは思っていた。

私もお外見たいにゃ


でも、そこには先客のおもちとあんこ。
モフっとして大きいおもちと、小柄なのに態度が大きいあんこが居座っているので、きなこは入る隙間がない。





にゃんか文句ある?
きなこはただ静かに待つ。
争わない。
忍耐の猫、きなこ。
争わない。怒らない。求めない。
彼女は “ブッダ系サイベリアン”。
悟りの境地に達したその姿は、猫とは思えぬ落ち着き。
数分後


今だ!
音も立てず、ふわりと窓辺へ移動。


ようやく外が見える…!うれしい…!
と思ったその瞬間
やつが戻ってきた!


おもちの逆襲である。


さらに数分後
みんないなくなって、やっとお外が見れる。
しかし、きなこの試練は終わらなかった。


今度はあんこが戻ってきて、追い打ちの猫パンチ。



ただ外を見ていただけなのに…
それでも、きなこは怒らない。
パンチされたことも、場所を取られたことも、ぜんぶそっと胸の中にしまいこむ。
その気になれば、きなこはおもちもあんこも軽く押しのけられる。
だって、じつは強いのだ。



怒らせると怖いのよ
でも、きなこは知っている。
争って手に入れる景色より、譲っても残る心のあたたかさの方が、ずっと気持ちがいいことを。


怒らず、慌てず、嘆かずに、悟りの道を静かに歩むブッダ系サイベリアン・きなこ。
今日もまた、誰にも気づかれない場所で、切ない日常を送っているのでした。
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